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講演会に登壇した大森重美さん=2025年4月5日午後4時12分、大阪市北区、原晟也撮影
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 JR宝塚線(福知山線)脱線事故から間もなく20年となるのを前に、大事故を起こした企業の刑事責任を問う「組織罰」の創設をテーマにした講演会「安全社会への歩み~もう一度考える組織罰~」が5日、関西大梅田キャンパス(大阪市北区)であり、約30人が参加した。

 主催は、2005年4月25日に起きた脱線事故の遺族などでつくる「組織罰を実現する会」。個人の責任しか問えない刑法の業務上過失致死罪に特別法を作り、法人も罪に問えるようにすることを目指している。16年に発足し、講演会を開くなどしてきた。

 同会代表の大森重美さん(76)は、脱線事故で長女の早織さん(当時23)を亡くした。「悲惨な事故を二度と起こしてはならない。事故が起きてから動くのでは遅く、事故の未然防止のために組織罰が実現してほしい」と訴え、「被害者の死を無駄にしたくないという気持ちを持っている。事故から20年が経つと風化してしまうが、機会があれば声を上げていこうと思う」と語った。

 脱線事故の検証などに関わった関西大の安部誠治名誉教授も登壇した。事故を契機にJR西日本に安全の仕組みができつつあるとしながらも、「まだまだ課題は残っている。安全のシステムや規制を作っても組織内で浸透しなければ忘れ去られる。一番大切なのは人づくりで、どう定着させていくかが重要」と話した。

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